Heroku に SPA on Django の Docker イメージをデプロイする

TL;DR

  • Heroku に Docker イメージをデプロイします
  • SPAを同一オリジンでDjangoから配信するアーキテクチャです
  • Docker関連以外の話はしません (静的ファイル配信、DB等)

Heroku には Docker イメージもデプロイできる

Heroku といえば、Git からデプロイのイメージが強かったんですが、Dockerイメージでのデプロイにも対応しているらしいです

Deploying with Docker | Heroku Dev Center

によると、

  • 手元で Docker イメージをビルドして、Heroku に投げる
  • heroku.yml を使って、リポジトリからイメージをビルドする

の2つがあります

この記事では、前者を使いますが、CI/CDを絡ませるなら、手元でビルドするのではなく heroku.yml にしたがって Heroku 上でビルドできるので後者のが良さそうな印象でした

どちらも単一のイメージから建てるものですが、Heroku にはもともと Heroku Postgres があり、Dockerイメージならマルチステージビルドも行えるので

  • フロント: SPA / SSG
  • バック: APIサーバー
  • RDB: Heroku Postgres

みたいなアーキテクチャなら対応できます

逆に、APIサーバーも建てるけどフロントではSSRしたいとかは無理なはずなので、別の形を考える必要があると思います

SPA on Django のイメージを作る

Herokuでは、

Using Multiple Buildpacks for an App | Heroku Dev Center

辺りを使うことで、 ビルドに Node.js と Python を使う、みたいなことはできるんですが、

プロジェクトルートからデーモン用のビルドパックを自動認識するので

  • Django Project (Python Runtime)
    • frontend (Node Runtime)

みたいなディレクトリ構成じゃないと(たぶん)ダメです

Dockerのビルドならこの辺の縛りがないのでとても良きです

とりえあず

  • backend (Django Application)
  • frontend (Node Application)

みたいなディレクトリ構成ということにします

# Build Frontend Staticfiles
FROM node:14.15.1-stretch as front-build

WORKDIR /frontend
COPY ./frontend /frontend

RUN yarn install
RUN yarn build  # frontend/dist にビルドされる

# Build Backend Django Packages
FROM python:3.8.6-buster
WORKDIR /backend

COPY ./backend /backend
COPY --from=front-build /frontend/dist /frontend/dist

RUN pip install --no-cache-dir -q -r requirements.txt

CMD gunicorn config.wsgi:application --bind 0.0.0.0:$PORT  # $PORTは実行時の環境変数から取得される

こんな感じでマルチステージビルドを使って、イメージが構築されます

CMD と ENTRYPOINT について

$ heroku run のときの環境で Dockerfile の各値が使われます

  • WORKDIR: カレントディレクトリ
  • ENV: 環境変数
  • ENTRYPOINT: $ heroku run <cmd>$ <ENTRYPOINT> <cmd>

てな感じ。

Docker-Compose のくせで、

# ...
ENTRYPOINT [ "./entrypoint.sh" ]
CMD [ "gunicorn", "config.wsgi:application", "--bind", "0.0.0.0:$PORT" ]

こんな感じで entrypoint.shENTRYPOINT に指定して、CMD を渡したんですけど、毎回 entrypoint.sh が呼ばれてしまって $ heroku run がまともに使えませんでした

なので、ENTRYPOINT は指定せずに

# ...
CMD [ "./entrypoint.sh" ]

とする必要があります

起動前に走らせたいものがないなら、直接サーバーを起動しても良いですけど、配列型で指定すると変数が展開されないので注意が必要です

CMD [ "gunicorn", "config.wsgi:application", "--bind", "0.0.0.0:$PORT" ]  # NG
CMD gunicorn config.wsgi:application --bind 0.0.0.0:$PORT                 # OK

デプロイする

Heroku CLI のセットアップとログイン、アプリ作成(heroku create)がされていることは前提として、

$ heroku container:push web

で、ローカルの Dockerfile を参照した Docker イメージのビルドが行われます

今回のやり方では、デプロイがリポジトリと連動しません

$ heroku container:release web

によって、ビルドされたイメージがリモートに送信され、デプロイされます

一連の流れとして、

heroku container:push web

if [ $? = "0" ]; then
  heroku container:release web
  heroku logs -t
fi

辺りを定義しておくと良さそうでした

終わりに

以上です

実際にデプロイするには、

  • Nginx 等を挟まないので、collectstatic して、whitenoise で配信する
  • SPA のルーティング設定
  • Heroku Postgres に環境変数から接続情報を取得して繋ぐ

とかとか、もろもろすることはありますが、その辺は主題じゃないので割愛しました

ステージング環境用に作ったんですが、結構良さそうだったので良ければぜひ。